GD実践編|「カフェチェーンの売上を上げるには?」で学ぶ議論の進め方
この記事の目的
この記事では、実際によくあるGD(グループディスカッション)のお題を使いながら、
- どのように議論を進めるか
- どこで論点整理をするか
- どのように結論を作るか
を実践形式で整理します。
今回は、定番のお題である
「カフェチェーンの売上を上げるには?」
を題材に進めます。
まず意識したいこと
GDでは、最初からアイデアを大量に出すよりも、
- 何が課題なのか
- どこに原因があるのか
- 何を優先するべきか
を整理する方が重要です。
そのため、この記事でも
- 場面の明確化
- 現状整理
- 論点の構造化
- 解決策の創出
- 解決策の決定
の流れで考えていきます。
1. 場面の明確化
まずは、「何について議論するのか」をそろえます。
ここでいう場面の明確化には、議論の対象だけでなく、自分たちがどの立場で考えるのか、そして誰に向けた施策なのかを決めることも含まれます。
同じ「売上を上げる」でも、
- 自分たちは本部側の立場なのか
- 店舗責任者の立場なのか
- 依頼主は誰なのか
- 短期的に上げたいのか、長期的に上げたいのか
- 店舗単位なのか、全国規模なのか
で議論の方向が変わります。
たとえば、最初に以下のような確認ができると議論が進めやすくなります。
・まず初めに私たちの立場や依頼主が誰かの前提を置きませんか?
・お題に対する期間や規模の目線を揃えませんか?
この記事では、本部側の立場で、国内店舗の半年〜1年の売上向上を考える前提にします。このように前提をそろえることで、後から話がズレにくくなります。
ただし、立場はお題や選考の文脈によって変わります。たとえばコンサル企業の選考であれば、コンサルタントとして依頼主に提案する立場で進めた方が考えやすい場合もあります。最初に前提を確認し、状況に応じて臨機応変に設定しましょう。
特に、立場や対象顧客が曖昧なままだと、ある人は「本部のマーケティング施策」を話し、別の人は「店舗オペレーションの改善」を話すようなズレが起きやすくなります。
2. 現状整理
次に、「理想」と「現状」を整理します。
特に、企業によってはお題に対して具体的なデータが与えられる場合があるので、その場合はデータから読み取れることを整理しましょう。
今回は、
- 理想:売上が上がっている状態
- 現状:売上が十分に伸びていない
という構造になります。
ここで大切なのは、いきなり解決策を出さないことです。
まずは、
- なぜ売上が伸びていないのか
- どこに問題がありそうか
を考えます。
データが与えられていない場合は、現状整理に時間をかけすぎず、仮説や一般論ベースで現状を整理すると進めやすくなります。
3. 論点の構造化
ここでは、大きな問題をそのまま考えるのではなく、「どこに原因があるのか」を分解します。多くの場合、ここで最も時間を使うことになります。
イメージとしては、問題を"因数分解"する感覚に近いです。
ここで使う分解には、大きく2つの考え方があります。
- 掛け算:売上を構成する大きな要素に分ける
- 足し算:その要素の中身をさらに分類する
たとえば、売上は大きく見ると「客単価」と「客数」の掛け算で考えられます。
売上 = 客単価 × 客数
客単価 = 商品単価 × 一人あたりの購入点数
さらに、商品単価や客数の中身を足し算で分けていきます。
商品単価 = ドリンク単価 + フード単価
客数 = 既存客数 + 新規客数
まとめると、次のように整理できます。
売上 = (ドリンク単価 + フード単価)
× 一人あたりの購入点数
× (既存客数 + 新規客数)
掛け算で大きな構成要素を分け、足し算でその内訳を整理することで、どこに改善余地がありそうかを考えやすくなります。
このように分解すると、売上を上げるために考えるべき論点は大きく分けて、
| 論点 | 具体例 |
|---|---|
| 客数を増やす | 新規来店者を増やす、特定の顧客層の来店を増やす |
| 商品単価を上げる | 高単価商品やフード商品の購入を増やす |
| 購入点数を増やす | ドリンクに加えてフードやカスタマイズを追加してもらう |
| 顧客層を絞る | 既存客・新規客など、どの層に注力するかを決める |
のように整理できます。
ここで重要なのは、分解した論点のうち、どこを優先して考えるかを決めることです。
ここでありがちなのは、分解した要素すべてに対して解決策を出そうとしてしまうことです。
しかし、GDでは時間が限られているため、すべてを同じ深さで議論するのは難しい場合があります。
そのため、
時間も限られているので、分解した要素の中で優先順位を決めませんか。
のように発言できると、議論全体を俯瞰し、進行を前に進める姿勢を示しやすくなります。
たとえば、
知名度はすでに高いので、新規の客数を大きく増やすより、既存来店客の購入点数を増やす方向で考えませんか。
のような発言は、議論を整理する役割になります。
この記事では、既存来店客の購入点数を増やすことを中心に考えていきます。
4. 解決策の創出
論点を整理したら、それぞれに対して解決策を考えます。
今回は、先ほどの因数分解を踏まえて、既存来店客の購入点数を増やす方向で考えるとします。
すると、
- ドリンクとフードのセット購入を促す
- 季節限定フードを強化する
- モバイルオーダーで追加購入を促す
- レジ横やアプリ上でカスタマイズを提案する
などの案が出せます。
この段階では、「量」をある程度出すことも大切です。
ただし、思いつきを並べるだけではなく、
- なぜ効果がありそうか
- どの層に効くのか
までセットで考えると、議論の質が上がります。
たとえば、
ドリンクだけ注文する人にフードやカスタマイズを提案できれば、一人あたりの購入点数が増え、売上向上につながるかもしれません。
のように、「理由」を添えて話せると説得力が出ます。
5. 解決策の決定
最後に、出た案を比較して結論をまとめます。
ここで大切なのは、「どの案が良さそうか」を感覚だけで決めないことです。
たとえば、
- 効果の大きさ
- コストの小ささ
- 実現可能性
などの評価軸を作ると、比較しやすくなります。
候補案を縦に並べ、評価軸を横に置いて、○・△・×で整理すると判断しやすくなります。
| 解決策の候補 | 効果 | コストの小ささ | 実現可能性 |
|---|---|---|---|
| ドリンクとフードのセット購入を促す | ○ | △ | ○ |
| 季節限定フードを強化する | ○ | △ | △ |
| モバイルオーダーで追加購入を促す | △ | ○ | ○ |
| レジ横やアプリ上でカスタマイズを提案する | △ | ○ | ○ |
このように整理すると、「どの案が一番よいか」を感覚ではなく、基準に沿って比較できます。
今回は、効果が見込みやすく、既存来店客に対して短期的に実行しやすいという点から、ドリンクとフードのセット購入を促す施策を選ぶことにします。
そして最終的に、
私たちは、「ドリンクとフードのセット購入を促進する施策」を提案します。
理由は、既存来店客に対してアプローチでき、一人あたりの購入点数を増やすことで、短期的にも売上向上につながりやすいと考えたためです。
のように、
- 結論
- 理由
- 判断基準
をセットでまとめます。
GDで大切なのは「議論を前に進めること」
GDでは、「すごいアイデア」を出すことだけが重要ではありません。
むしろ、
- 話を整理する
- 今どの段階か確認する
- 比較軸を提案する
- 結論をまとめる
といった行動の方が、議論全体への貢献として評価されやすいこともあります。
たとえば、
今は案出しが中心なので、一度「効果」と「実現しやすさ」で整理してみませんか。
のような発言は、議論の流れを整える役割になります。
まとめ
今回の流れを整理すると、
- 何について議論するかをそろえる
- 現状と課題を整理する
- 売上を要素に分解する
- 優先する論点に対して解決策を考える
- 評価軸を使って結論を決める
という流れになります。
GDは「正解を当てるゲーム」というよりも、「限られた時間で考えを整理し、チームとして結論を作る場」に近いです。
最初から完璧な発言を目指すよりも、まずは「議論を前に進めること」を意識してみましょう。